横浜市の住宅街に建つ家。
土地探しから相談を受け、最終的に選ばれたのは、横浜市内に多く見られる高低差のある住宅密集地域の土地。計画地を含む住宅地一帯は東西を崖に挟まれ、北に向かってゆるやかに下がるスロープ状の地形である。
敷地の西側は、道路に面して高さ5mを超えるコンクリート擁壁が迫り、崖上に家々が軒を連ねているため開口部を設けるには適さない。対する東側の崖は道路を挟んだ隣家の向こう側にあり、崖上の学校に植えられた種々多様な樹々を借景に季節感を楽しむことができる。また、2階レベルに上がれば南北に抜けがあり、北方に見晴らしが良いことが分かった。
敷地が面する三面道路は全て傾斜していて敷地と段差が生じていた。
そこで最も車のアプローチが容易で、かつ排出土量を最小限にできる北西角を半屋外の駐車スペースとした。
駐車スペースの屋根を兼ねる4mを超す片持ち出しは、窓を設けるのに適さない西側の外壁面全体で支えられている。
2階には南東角にテラスを設けることで、採光(南)と眺望(東)を確保し、西の崖上からの視線と西日をシャットアウトした。ウッドデッキのテラスには、キッチンと浴室の両方から直接出入りすることができる。
2階リビングの一角に設けた畳コーナーは、寝転んだ状態で椅子に腰掛けた視線と同じ高さになるよう、あえて床面から高く持ち上げ、床下収納と掘りこたつ式のデスクコーナーを設けている。そして北側の横長窓からは、横浜のシンボル・ランドマークタワーを望むことができる。
ヨコハマノイエは、テラスに面した大開口とランドマークタワーを望む横長窓に加え、階段と浴室にも天窓を設けているため、日中は家のどこにいても明るい。
谷状の地形に住宅が密集する地域にありながらも、通行人の視線を気にする必要がなく、様々な方向から光が射し込む明るく開放感のある住まいとなった。